「蟲」(江戸川乱歩)
あまり味わいたくはない種類のものですが。 「蟲」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第5巻」)光文社文庫 厭人病者の柾木は、友人・池内に人気女優・木下芙蓉を紹介されるが、彼女は初恋相手・文子だった。自らの想いを伝えようとする...
あまり味わいたくはない種類のものですが。 「蟲」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第5巻」)光文社文庫 厭人病者の柾木は、友人・池内に人気女優・木下芙蓉を紹介されるが、彼女は初恋相手・文子だった。自らの想いを伝えようとする...
思い出話、愚痴話、惚気話、そしてコント 「モノグラム」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第3巻」)光文社文庫 「どっかで御目にかかりましたね」って、おどおどした小さな声です。多少予期していたので、私は別に驚きはしませんでし...
毒好きな方に、乱歩の「猛毒」の逸品 「盲獣」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第5巻」)光文社文庫 不快極まる、色彩の混乱であった。色彩の雑音。色の不協和音だ。人を気違いにする配色というものがあるならば、きっとこの様なもの...
冒頭と終末で、まったく雰囲気が様変わり 「孤島の鬼」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第4巻」) 光文社文庫 「私」が愛した女性・初代は、ある夜、しっかりと戸締まりがなされた自宅で、何者かに心臓を刺されて殺された。「私」は...
豪華絢爛!昭和初期の大物探偵作家・夢の共演 「江川蘭子」(江戸川乱歩・横溝正史・甲賀三郎・ 大下宇陀児・夢野久作・森下雨村)(「合作探偵小説コレクション①」) 春陽堂書店 「江川蘭子(第一回)」(江戸川乱歩)(「江戸川乱...
筋書きだけでなく、作家五人の顔を愉しむ 「空中紳士」(江戸川乱歩・他)(「江戸川乱歩全集第3巻」)光文社文庫 巽小路侯爵殺人事件、ルール殿下失踪事件、巽小路夫人失踪事件、巽小路美麿氏殺人事件。その真相を追う女性記者・星野...
単なる猟奇的小説ではありません。傑作です。 「陰獣」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第3巻」)光文社文庫 「かつて捨てた男・平田から脅迫されている」。静子から打ち明けられた寒川は驚く。その男は謎の探偵作家といわれる大江春...
異常性癖という、もう一つの「乱歩らしさ」 「湖畔亭事件」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第2巻」)光文社文庫 湖畔亭に滞在していた「私」は、刺激を求めるあまり、得意のレンズの仕掛けを拵え、風呂の脱衣場を覗くことを試みる。...
乱歩の創造に、読み手の想像が刺激されます 「空気男」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第2巻」)光文社文庫 同じ下宿屋の隣同士の北村五郎と柴野金十は、お互いに暇を弄んでいた。その慰みとしてそれぞれ探偵小説を書き上げるが、意...
乱歩らしい「異常嗜好」がこれでもかと現れている 「闇に蠢く」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第2巻」)光文社文庫 画家・野崎三郎には異性に対して独特の嗜好があった。顔に代表される容姿そのものよりも、肉体そのものの美しさに...